Clarity 3D Solver Technology - 高精度+大規模なパフォーマンスを実現 -
近年の設計に見られる非常に複雑なシステムは、構造の最適化の観点と高速信号のコンプライアンスに対応できるよう、3Dで高精度にモデリングすることが求められています。
特に112G-SerDesインターフェースなどの高速信号は、非常に堅実な配線設計をしなければなりません。しかし、従来のフィールドソルバーでは、解析速度やキャパシティの制限があり、マシン環境の制約の範囲内で実行できるよう、構造の簡素化やセグメント分割する必要がありました。このような疑似的な3D手法では、モデルの切り方による影響が解析結果に及ぼすことがあり、解析精度面でのリスク要因となります。
Cadence® Clarity™ 3D Solverは、最先端の並列処理技術を搭載したフル三次元のフィールドソルバーで、大規模なモデルをクラウドや自社運用マシンに分散処理させることで、モデルの縮退を行うことなく、高精度な解析を行うことができます。
Achieving massive performance, scalability, with 3D accuracy
Clarity 3D Solverは、分散処理を行う際に発生するパフォーマンスと精度の問題を最新技術で克服した画期的なソルバーです。クラウドに対応した分散処理を行うことで、超並列実行が可能となります。あたかも複数台のマシンが1つのマシンであるかのように分散処理を行うため、メモリの容量を気にする必要はありません。さらに、分散処理を行う上でのパフォーマンスの低下も抑えられており、CPU数に対してほぼリニアなスケーラビリティーを実現しています。
また、基板自体を分割して解析する方法ではないため、精度面が犠牲になることもありません。Clarity 3D Solverは、実測のコリレーションを多数積み重ねており、アダプティブメッシュや周波数スイープの結果は分散処理を行わない場合と同等となります。
一般的な分散処理では、形状の前処理やメッシュ生成、分散処理に必要な分割処理は、ホストマシンで行います。その上で、メッシュデータをリモートホストに渡し、結果を戻すといった処理を行います。
一方、Clarityの分散処理では、形状の前処理やメッシュ生成処理まで分散処理の対象にすることができます。最適な並列ジョブ数を必要となるコア数から、その都度計算してくれるため、常に最適なパフォーマンスで解析を行うことができるようになります。ホストから見ると分散処理をしているリモートマシンは、あたかも、1台のマシン内のマルチコアプロセスのようにみえ、リモートマシンの使用可能なメモリとコア数の総和で解析可能なサイズが決まります。
また、Clarityエンジンは、同時並列数やメモリ使用量に制限を設けていない実質無制限で、どのような構造にも対応でき、クラウド環境をリモートマシンとして、Microsoft AzureやAmazon AWSといったサービスを利用することにより、手軽に大規模な解析を行うことができます。
Gold-standard accuracy - Accurate 3D Electrical Modeling -
112G-SerDesインターフェースを検証するにあたり、パッケージやプリント基板、コネクタ部分のモデリングをClarity ソルバーを使用した解析例を見てゆきましょう。これは実際に、Rx端で実測とのコリレーションを行っております。
このように複雑なPAM-4伝送においても、eyeダイアグラムの形状が正しく再現できているのは、Tx-Rx間の伝送路系を正しくモデリングしている証拠となります。このことから、Clarityのモデル抽出精度が高いことが分かります。このように、ClarityエンジンとSigrity環境を組み合わせて使用することで、Power-Aware SI解析の統合環境を実現できるようになります。
Extreme Performance
それでは、パフォーマンス比較例を見てみましょう。
112G-SerDesインターフェースの検証で、従来のソルバーを使用した解析時間を1とした場合、Clarityソルバーに変更するだけで、1.6倍のパフォーマンスとなります。2台のマシンに分散処理し、コア数を倍にした場合のパフォーマンスがおよそ3倍、4台のマシンに分散処理し、コア数を4倍にした場合のパフォーマンスがおよそ6倍、8台のマシンに分散処理し、コア数を8倍にした場合のパフォーマンスがおよそ12倍となります。
また、DDR4インターフェースの検証をしたケースでは、同一環境でのパフォーマンス向上が1.4倍。2台のマシンに分散処理し、コア数を倍にした場合のパフォーマンスが2.6倍。4台のマシンに分散処理し、コア数を4倍にした場合のパフォーマンスがおよそ5.2倍。8台のマシンに分散処理し、コア数を8倍にした場合のパフォーマンスがおよそ10.4倍となり、CPU数に対してリニアにパフォーマンスが向上していることがわかります。
このように、Clarity 3D Solverは、パフォーマンス、精度、スケーラビリティーのすべての面で、お客様のSI/PI解析の信頼性と短TAT化に貢献いたします。
Clarity 3D Solver Summary
今日の高速設計は、日々、難易度を高めています。
特に、ご紹介した超高速インターフェースの検証には、3Dソルバーが必須となりますが、今までのシステムでは、解析時間や精度面で問題になることが多々ありました。高速化の要求だけではなく、システムとしての信頼性向上や低電力化への要求、低コスト化への要求など様々なハードルをクリアしなくてはなりません。
Clarity 3D Solverは、112G通信ネットワーク、IoT、車載/ADASをはじめとする複雑かつ高速なシステム設計において、短TATで高精度な解析を実現し、システム全体のパフォーマンス向上と設計コスト削減に貢献します。
7月19日(金)開催、CDNLive Japan 2019において、Clarity 3D Solverのデモをご覧いただけますので、ぜひお立ち寄りください。
今回、ご紹介の内容に関しましてお問い合わせがございましたら、貴社担当営業、あるいはメール: [email protected]へご連絡ください。
フィールドエンジニアリング&サービス本部
森谷 卓矢
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