事例紹介:広島大学によるXtensa Vision P6の大腸がん診断支援システムへの適用
7月21日開催されたCDNLive Japan 2017にて、広島大学 ナノデバイス・バイオ融合科学研究所 小出哲士准教授のグループから「内視鏡画像にCNN特徴を適用した大腸がん診断支援システムのテンシリカVision P6 DSPによるリアルタイム処理の実現」との題で医療アプリケーションへの適用事例を報告いただきました。広島大学は、文部科学省から生体医歯工学共同研究拠点に指定されており、医療と工学を連携させた新たな技術開発の推進拠点になっています。 大腸がんは、世界的にもよく認められるがんの一つで、日本では年々増加傾向にあるものです。大腸がんの診断には医師の感性や経験が必要であり、診断医が限られているのが現状です。そのため大腸がん診断支援システムが必要不可欠となっています。
図1:内視鏡リアルタイム診断支援システムイメージ
広島大学では、大腸がんをA,B,Cのタイプに分類し診断を行なっています。所見分類は機械学習を適用し医師の所見分類結果に基づいて学習しています。すでにハードウェアによる高速化を実現し、診察時のリアルタイム診断支援を可能にしています。
図2:NBI拡大所見分類(広島大学分類)
広島大学では、さらにディープラーニングの一つであるCNNによる特徴抽出を利用した大腸がん診断支援システムの構築に取り組んでいます。シミュレーションにより識別精度を検証された後、ケイデンスのVision P6 DSPコアへの実装を試行していただきました。
Xtensa®の持つAuto Vectorization機能により処理をベクトル演算化し、さらにソースコードを最適化することで、処理にかかるサイクル数を1/33に削減できたことを報告して頂きました。
グラフ:Vector化の効果:サイクル数比較
開発したシステムは、ケイデンスのProtium™ S1を活用した早期プロトタイピングにより、実現性を検証していただきました。
図3:Protium S1によるプロトタイピングの出力画面
10月18日に開催されるIPソリューションセミナーでは、上記のProtium S1を使った大腸がん診断支援システムのデモをご覧いただきます。
また、11月9日—10日に東京工業大学大岡山キャンパスで開催される第2回生体医歯工学共同研究拠点国際シンポジウムでは、ケイデンス 辻からこちらの成果を講演いたします。
会場でお会いしましょう。皆様のお越しをお待ちしております。
システムソリューション
小田川 真之
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