Cadence AWR Design Environmentの進歩
Cadence® AWR Design Environment®は無線製品を設計するための統合されたプラットフォームです。お客様の設計を効率化するために製品自体の継続的な開発と合わせて弊社の強力な他製品群との連携/統合も進められています。また一方でお客様の課題を解決するためのパートナーと協力したソリューションの開発を行い、お客様の設計と効率化をサポートしています。本記事では最近のCadence AWR Design Environmentに関連した項目をまとめてお伝えします。
主な内容は下記の通りです。
- AWRオンライン・セミナー 2022
- Rohde & Schwarz社との協調ソリューション『設計と測定の融合』
- RF/マイクロ波ブログ
- Cadence Online Supportの製品ページ
1. AWRオンライン・セミナー 2022
2022年2月から3月に4回にわたり、『AWRオンライン・セミナー 2022』と題してPCB設計環境Allegro®、システム解析ツールClarity™/Celsius™など弊社の他の製品との統合の進展をお伝えするWebinarを行いました。
Webinarのビデオはこちらより視聴頂けます。ビデオをご覧いただくためには、弊社サイト(cadence.com)にログインしていただく必要がございます。cadence.com ログインのアカウントをお持ちでない場合には、お手数ですが、「ビデオはこちらより」をクリック後、表示されるログイン画面「Register Now」よりご登録ください。
第1回のテーマはCadence AWR Design EnvironmentとClarityの統合がテーマでした。Cadence AWR Design Environmentでの設計において、Clarityを電磁界解析のエンジンとして用いることが可能です。近年のますます複雑化するシステムでは相互作用を正しく理解し問題に対処するために解析するべき対象が大きくなっており、大規模の構造を効率的に解析できるClarityはお客様が問題を解決することを助けます。Cadence AWR Design Environmentで用意された多くの回路部品やベンダー様から提供される部品を電磁界解析された構造と組み合わせて設計し、また、設計が正しく/期待通り動作するか検証することができます。
図1:ClarityはAWR Design Environmentと組み合わせて
設計検証/マイクロ波設計/アンテナ設計など様々な分野の構造解析で活用が可能
第2回のテーマはCadence AWR Design Environmentと熱解析エンジンCelsiusの統合がテーマでした。設計が複雑化する一方でコスト削減のためのサイズの縮小は設計者にとって熱の集中という課題をもたらしています。熱によって設計された製品が破壊されたり、不具合が起こったりする問題を引き起こさないように熱の分散や低減が必要とされる一方、熱の解析は従来の設計では設計の後半で行われ、効率的でない手順のために時間がかかり、問題が生じる場合には設計の完了を大きく遅延させる原因にもなっていました。弊社で開発している統合により、設計者は熱の問題により早い段階から必要に応じて効率的に取り組むことができるようになります。
図2:AWR Design EnvironmentからCelsiusへの設計フロー
第3回のテーマは高度なアンテナ設計のためのCadence AWR Design EnvironmentとClarityの統合がテーマでした。高度なアンテナ設計の題材として5Gやレーダーアプリケーションで活用されるフェーズドアレーアンテナが用意されました。アンテナの仕様決定からアンテナの設計、アンテナのアレー化、アンテナ性能の確認まで製品を活用して設計を行う手順を示し、設計をどのように効率化できるか、その中での製品の活用について説明をしました。
図3:Webinarで設計されたフェーズドアレーモジュールの回路/レイアウトおよび放射パターン
第4回のテーマはCadence AWR Design EnvironmentとPCB設計環境Allegroの統合がテーマでした。RF設計はしばしばデジタル部や他のアナログ回路部と一緒にPCBに統合されます。このような作業はRF設計が他の部分と比較すると非常に単純なために手作業で行われていました。この統合によって、設計の完了後、設計者は回路図とレイアウトを、すべての階層と一緒に設計ライブラリに出力して、Allegroの回路図キャプチャおよびレイアウトツールに直接統合でき、設計から製造へのプロセスを加速できます。
図4:AWR Design EnvironmentからAllegroに回路とレイアウトを出力
2. Rohde & Schwarz社との協調ソリューション
ソフトウェアを使用した設計/解析は、無線通信機器の設計において設計の反復回数を最小限に抑えるために不可欠なツールとして用いられています。近年の無線通信では高いデータスループットを実現するためにより複雑な波形を採用し、より広い帯域幅をサポートしています。解析のために標準規格に準拠した波形(5G、Wi-Fiなど)またはユーザー定義のデジタル変調された信号を用意する必要があります。この必要性に対応するために、弊社はRohde&Schwarzと協力して、Rohde&Schwarzの信号生成(R&S®WinIQSim2TM)および分析(R&S VSE)ソフトウェアとCadence AWR Design Environmentプラットフォーム内で動作するCadence Visual System SimulatorTM(VSS)システム設計ソフトウェアの統合を開発およびサポートしました。設計者は設計と測定において同じアルゴリズムで作成された信号と分析手法を利用することができるようになります。詳細や実際のアプリケーション例については2022年2月に開催されたWebinarをご参照ください。
図5:AWR Design Environment内に配置されたRohde&Schwarz社製の
信号源および分析ブロック
Webinar: 5G信号を活用したDPDによるRFパワーアンプの線形化 - 測定器とCadenceツールを活用した製品開発の効率化
RFブログ: 新しい通信システム解析向けソリューション: Rohde&Schwarz社の標準規格信号を設計で活用
3. RF/マイクロ波ブログ
弊社ではRF/マイクロ波に関する更新情報や製品活用のヒントを共有するためにブログを配信しております。RF/マイクロ波に関連するブログは月に1,2回のペースで配信をしております。下記は2022年にリリースされたブログで最近はユーザー様向けの製品活用のヒントが配信されています。ブログの購読登録(無料)を行うと、最新記事公開の通知をメールでお受け取りいただけます。ぜひご登録ください。ご登録方法は、こちらよりご確認ください。
2022/1/27 Cadence AWR Design Environment の高度なカスタマイズのヒントとコツ
2022/2/24 Cadence AWR Design Environment プロジェクト管理のヒントとコツ
2022/3/21 AWRソフトウェアを使用したRFカスケード性能の分析と最適化
2022/4/19 μWaveRiders:Cadence Microwave Office レイアウトのヒントとコツ
図6:公開されたRF/マイクロ波ブログ
4. Cadence Online Supportの製品ページ
Cadence Online Supportでは、お客様が弊社サポートに問い合わせをして頂いたり、製品情報を検索したりすることができます。本記事ではCadence Online Support内の製品ページについてお知らせします。ログイン後の画面左下に、日本語プロダクト・ホームページの個所があり、AWR Microwave/RF Designがあります。ここでは製品が紹介された記事やチュートリアルガイド、インストレーションマニュアル、クイックリファレンスガイド(ヒント集)、リリース情報などの日本語版をダウンロードすることができます。2022年3月末にはCadence AWR Design Environment V16.02がリリースされ、そのアップデート情報もこのページ内からダウンロードできます。
図7:Cadence Online Support内のAWR Design Environment製品ページ
参考
システム セールス チーム プリンシパル アプリケーション エンジニア
菅原 努
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