AI ドリブンな機能検証ツール新製品 Verisium Platform
SoC (System on Chip) の規模は年々拡大していて留まるところを知りません。その一方で検証技術に関しては、最近までツールのパフォーマンス改善や個々の機能改善などに重点がおかれていて、残念ながら大きなパラダイムシフトはなかなか起こらず、厳しいスケジュールに対応しなければならない検証技術者の悩みは尽きません。また、規模の大きなデザインを検証する過程でツールから発生されるデータは膨大であり、人手で全てを把握し、上手く今後の設計や検証に活用するというところまで至っていない事も多いのではないでしょうか。このような膨大なデータを有効活用して先に述べた検証者の悩みを少しでも解決する方法があれば、それはある意味で情報の再利用という事になり、とても意味のある結果になりそうです。
半導体設計以外の世界に目を向けると、データドリブンという考え方のなかで AIドリブンという言葉を見かけるようになってきました。具体的には、データドリブンで意思決定を行う際の補助ツールとしてAIを使ったデータ分析を行い、より良い行動を起こせるようにする、といった事になります。これは正に検証者の悩みの解決に通じるものがありそうです。
このような背景から弊社は Cadence® Verisium™ AI-Driven Verification Platform ※1 を先日発表させて頂きました。本プラットフォームは、現時点で以下のようなアプリケーションにより構成されています。
Verisium Manager, Verisium Debug を検証の基軸に置き、それ以外の新しい4つのアプリケーションと、AIを活用して設計開発を大幅に加速するためのビッグデータ解析用プラットフォームCadence Joint Enterprise Data and AI (JedAI) Platform との連携により検証者の悩みを少しでも解決する助けになればと考えています。
ここで簡単に普段の業務への取り入れ方に関して例を用いて説明します。デザインRTLは一般的なバージョン管理システムにより履歴を残し、Verisium Manager によって日々のリグレッションを管理できます。リグレッション内にいくつかのエラーが発生した場合、Verisum AutoTriageTMはユーザによって事前に作成した学習済みモデルにより自動でエラーを分類します。また、前回のリグレッションから変更のあったモジュールとその変更に関する統計情報をVerisium SemanticDiffTMによって確認でき、実装レビューやバグの特定に役立てられます。そして、デバッグ対象としたエラーに関して原因となるコミット履歴をVerisium PinDownTMで特定し、Verisium WaveMinerTMによって期待する動作波形との信号動作の差分を自動で抽出後、原因となる変更箇所の信号をVerisium Debugで表示します。表示した波形はVerisium Debug の機能を使ってそのままデバッグすることが可能です。
今後より多くのデータをよりスマートに活用するためのアプリケーションを拡充していく予定です。興味がございましたら是非ご連絡ください。
この新しいプラットフォームに関しては、今後も積極的に情報を発信していく予定です。第一弾として、12月8日 にオンラインで開催する予定のCadenceCONNECT : Functional Verification Seminar 2022においても情報を提供する予定ですので、ご期待ください。
※1: Verisium AI-Driven Verification Platform | Cadence
フィールドエンジニアリング&サービス本部
システム&ベリフィケーション
加藤木 聡
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