ケイデンスがデジタルツイン分野に参入!
データセンターのキャパシティ管理と電子機器の熱設計をサポートする革新的なソリューション「6SigmaDCX」
みなさん、初めまして。
2022年7月15日からケイデンスの一員となりましたFuture Facilities Salesチーム マーケティング担当の入谷です。今回は私たちFuture Facilitiesセールスチームが取り扱っている製品ポートフォリオならびに特徴について紹介させていただきます。今後製品名称が変わる予定ではありますが、「6SigmaDCXスイート」という熱流体解析術をコア技術としたソリューションを紹介いたします。
6SigmaDCXスイートには、下図の通り、大きく2つの業界に向けたソリューションがあります。
- 電子機器業界向け:6SigmaET
特に、電子機器の設計者に向けた熱設計支援ツールです。 - データセンター業界向け: 6SigmaDCX
データセンターの空冷解析技術を用いて、レイアウト設計・検討できる機能から日々の運用管理におけるキャパシティ管理まで対応するソリューションです。
- 電子機器業界向け「6SigmaET」
電子機器の熱設計向けツールは1980年代後半から企業内で活用されるようになり、今では電子機器を設計している企業毎に色々な取り組みが実施されている成熟された分野です。その中で、2009年に電子機器設計者向けの熱設計ツール「6SigmaET」がリリースされました。既に多くの競合他社製品がひしめく業界ですが、ユーザ数を増やしているツールです。
※ 6SigmaETの歩み:https://www.6sigmaet.info/10years/jp/index.php電子機器設計者向けのツールは、エンジニアが設計業務を行いながら熱気流解析を兼務することが多いので、いかにツールが設計者にとって簡単に、短時間に許容できる精度の結果を求めることができるかが非常に重要になっています。昨今では、製品の開発サイクルが短くなったことや3D CADデータを取り扱う点等、熱設計ツールに複雑な幾何学形状を取り扱えるモデリング機能や、大規模なモデルに対しても短時間に解ける強力なソルバーエンジンが求められるようになってきています。
まず、6SigmaETの特徴について紹介します。
基本的に、現在電子機器業界でリリースされている熱設計ツールの機能について星取表を作成してみると、ほぼどのツールも同様の機能が搭載されており、大きな差が無いように見えます。しかし、その中でも各ツールには特徴があり、それらのメリットは設計効率に大きく影響します。6SigmaETの強みは以下の3点です。① 【インターフェイス】タブレイアウト式ウィザードと軽いGUI
高い操作性ならびに使い易さを追求したGUIを目指して、ソフトウェアが開発されています。特に、解析専任者や経験者でなくても、GUIに触れば、直感的に使える3D CADツールライクな仕様になっています。また、電子機器の各種デバイスモデルの作成もオブジェクト指向で構築されており、チップやPCB基板といったデバイスが事前に準備されています。その他にも、ツールを使える人の属人化を防ぐために、グリッドの自動生成機能や形状簡略化が基本不要で、結果表示も属性毎に一括で表示ができるように表示プロットがカスタマイズされており、短い学習期間ですぐに利用できるように開発されています。② 【モデル作成】必要なのは3D CADデータのみ!
これまで、「電子機器の熱流体解析を行う際に、まずは3D CAD形状の簡略化が必要」という固定概念がありましたが、6SigmaETは3D CADデータをそのまま読込んで解析することができます。旧来の熱流体解析ツールとは異なり、強力な3D CAD形状の認識機能と自動グリッド生成機能を基に、簡単に、更には部品のグリッド生成が出来ずに欠落することなく、3D CADデータを取り扱うことができます。昨今のニーズである製品と解析モデルのデジタルツイン化をサポートする強力なグリッド生成機能において、プリ処理にかかる作業時間が1/3~1/10で実現することが可能となります。③ 【ソルバー】強力なソルバーエンジン搭載
新しい設計思想の下、自社開発のソルバーは業界屈指の解析処理スピードを実現し、更には並列処理時も頭打ちすることなく線形的に演算処理効果を実現することができます。NVIDIA社のCUDA®テクノロジーにも対応しており、従来の演算処理では時間を要していた輻射(熱放射)計算やジュール発熱計算を、GPU技術を活用することにより数十倍も高速化することが可能です。その他、お客様から質問をされる機能に関して、代表的な3つを以下にまとめます。
- 対応しているCADフォーマットは何があるか?
機械系CADならびに電気系CAD共に標準対応しています。
- 機械系CAD: STL、STEP、IGES
- 電気系CAD: IDF、IDX、XFL、Gerber、ODB++、IPC-2581 - 作成したモデルデータや物性値などをライブラリ化できるか?
ライブラリ機能を有しており、すべての一度作成したデータは他のユーザと共有することも可能です。任意にライブラリ管理をすることができ、アッセンブリのモデルデータから物性値ひとつまですべて保存することができます。 - パラメータ解析や最適化機能はあるのか?
パラメータスタディーから実験計画法(DoE)を用いた解析、あるユーザ変数を基にした応答曲面評価と機能が搭載されています。複数の解析を行う際のバッチ処理から、複数の結果を同一画面上で比較する結果表示機能など多くの便利機能が搭載されています。
- 対応しているCADフォーマットは何があるか?
- データセンター業界向け「6SigmaDCX」
皆さん、データセンターやサーバ室を見たことはありますか?これを読まれている方に情報システム部の方々はいらっしゃいますか?データセンターやサーバ室向けに、今回の新しいケイデンス社の製品がどのように役立つのかイメージが湧かない方も多くいらっしゃると思います。しかし、データセンターもサーバ室もレイアウト設計から日々の運用で「熱」の課題に直面しています。例えば、“各IT機器の排熱をどのように空調機に戻してあげるか”、“熱ダマリがないか”、“逆にギンギンに冷やし過ぎていないか” 等、熱気流解析を活用できるシーンが多数存在します。
6SigmaDCXツールは、熱気流解析をコア技術にもつソフトウェアで、データホールの冷却能力から消費電力、ネットワーク、床荷重のキャパシティを管理し、安全運用できる環境構築の手助けをすることができます。
データセンターやサーバ室では、20~30年と運用しなければならないデータホール(施設)に、2~4年周期で更新されるIT機器を実装してIT環境を構築しなければならず、IT機器側と施設側の仕様のギャップから効率の良いレイアウト設計を行うことが非常に難しくなっています。また、年間の電気代含めた運用コストも、規模にもよりますが数百万円~数千万円、場合によっては数億円とかかり、企業におけるコストセンターとなっています。このような状況を解決すべく開発されたのが、6SigmaDCXです。特に、以下2つの場面で力を発揮します。
① 【設計者向け】データホールの冷却設計からレイアウト設計の検討
企業の情報システム部の方、建設会社や設計会社の方々がデータホールを設計する際に用いられるツールです。最近では、GX (Green Transformationの略) 対策の一環として、データホールの電力量削減のためにも利用されるようになっています。安全なデータホール環境を構築するため、6SigmaDCXを用いて熱気流解析を実施し、IT機器実装後の温度予測や空調機の稼働条件の検証を行います。下図のように、ラック(透過表示)内のIT機器に熱的問題があれば赤く表示し、解析データを基に原因の特定をすることができ、対策を練ることができます。② 【運用管理者向け】データホールのIT資産の状況から電力容量の管理ができるツール
6Sigma Digital Twinコンセプトの下、既存のデータホールを建物の躯体データから空調機や盤、ラックからIT機器までを仮想空間に3Dモデル化し、論理的な電力の系統管理と一緒に、視覚的にデータホールの運用状況を可視化することができます。最近では、データホールの運用管理時に担当者が表計算ソフトや管理ツールを用いてリスト管理されていることが多いですが、属人化とデータの統合評価ができずに困っているという課題を良く耳にします。しかし、6Sigma Digital Twin技術を活用することにより、情報の共有や日々の運用時の最適化検討などの蓄積された情報を基に、視覚的に問題点の確認、最適化や改善を実現することが可能となります。特に6SigmaDCXは以下の点に困っている方々に是非試していただきたいです。
- データホールの運用業務が属人化してしまっている
データホールのIT資産管理から利用状況の管理は多岐に渡り、専任の担当者のみが運用できる状態となっていることが多く、限定的なメンバーでしかデータの管理ができない状態となっていることが多いです。これらを6Sigma Digital Twin技術で、より多くの関係者が一緒に、色々な検証を仮想空間で議論し、そのアウトプットを安全に現場に反映することが可能となります。
※ 参考資料:https://www.futurefacilities.com/online-course-series2-details-km/?_locale=jp - SDGs配慮型データセンターをなかなか実運用できない
フランスでUptime Tier IVの認定を取得しているThésée Data Center社のコロケーションセンターでは、6Sigma Digital Twin技術と同社のデータセンター管理システム(DCMS)を連携させ、日々の運用管理を行っています。同社では、データセンターのパフォーマンスの把握しながら、6Sigma Digital Twin技術を取り入れることにより、環境に配慮したデータホールの構築を実現しました。
※ 参考資料:https://www.futurefacilities.com/colocation/?_locale=jp
- データホールの運用業務が属人化してしまっている
電子機器の熱設計者向けツール「6SigmaET」、もしくはデータホールの気流解析や運用管理ツール「6SigmaDCX」にご興味を持っていただきましたら、製品紹介からデモ等を実施させていただきますので、お気軽にFuture Facilities Salesチームまでお問い合わせください。営業より連絡をさせて頂きます。
- お問い合わせ窓口:045-475-7944 (部直通)
- メール:[email protected]
Future Facilities Sales
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入谷 颯
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