ケイデンス、EM-IR違反を自動的に発見し対策可能な業界初の生成AIテクノロジー「Voltus InsightAI」を発表
06 Nov 2023
要旨:
- 業界初の生成AIドリブンテクノロジーにより、設計初期段階で根本原因を予測、IRドロップ問題を解決
- マシンラーニングで生成したパワーグリッドモデルを使用する画期的な新しいテクノロジーにより、デザインインプリメンテーションにおいて高速にIRの推論が可能
- 初期段階でのIRドロップの予測および抑制機能により、パワーグリッドの過剰設計の必要性がなくなり、PPAの大幅な改善を実現
- Voltus InsightAIはケイデンスのデジタル設計フルフロー、システム設計、解析プラットフォームとシームレスに統合。効率的なEM-IRドリブンなデザインクロージャーを実現
ケイデンス・デザイン・システムズ社(本社 米国カリフォルニア州サンノゼ市、以下ケイデンス)は、11月2日(米国時間)、業界初の生成AIテクノロジーであるCadence® Voltus™ InsightAIを発表しました。設計初期段階でEM-IRドロップ違反の根本原因を自動的に特定し、最も効率的な修正を選択、実行することで消費電力、性能、面積(PPA)を改善します。Voltus InsightAIを使用することにより、サインオフ前に最大で95%の違反修正が可能となり、EM-IRクロージャーの生産性が2倍向上します。
パワーインテグリティは、先端ノード設計において重要な課題ですが、設計者はサインオフ設計の段階で相当数のEM-IR違反に直面するため、設計の初期段階でこの課題に対処しておくことが不可欠です。インデザインEM-IR解析の大きな障壁には、サイズおよび電力ネットワークの結合性質により計算コストが高くなることがあります。新しいAIベースのVoltus InsightAIは、非常に高速なインクリメンタルIR解析向けの新しい画期的なマシンラーニング手法を使用するため、このボトルネックの克服に役立ちます。Voltus InsightAIにより、オンチップおよびチップレットのパワーインテグリティをさらに向上させるためにインデザイン解析を使用することができます。このテクノロジーは、問題を早期に発見するためのエンジニアリングの効率向上を可能にし、生産性の大幅な向上につながる機能を提供します。
- 高速IR推論エンジン: このソリューションは、独自のニューラルネットワークを使用してパワーグリッドのモデルを構築し、非常に高速なインクリメンタルIR解析を実行して、設計変更によるインパクトを即座に反映することが可能
- IR Drop診断: Voltus InsightAIは、ディープラーニングを使用してIRドロップ問題の根本原因を発見し、原因、障害、抵抗のボトルネックを迅速に特定することができます。電気的、物理的、タイミング的な要因から設計中のIRドロップ問題を予測
- マルチメソッド修正: デシジョンツリーメソッドは、配置、グリッド補強、配線、ECO(Engineering Change Order)のような複数の方法を使用して、IRドロップのタイミングとDRC(Design Rule Check)を考慮した修正を実行しています。Voltus InsightAIは、問題の根本原因に基づいて正確な修正方法を選択し、より良い利用率とPPAの改善を実現
- 完全統合ソリューション: Voltus InsightAIは、Cadence Innovus™ Implementation System、Cadence Tempus Timing Solution、Cadence Voltus IC Power Integrity Solution、Cadence Pegasus™ Verification Systemを含むケイデンスソリューションと完全統合。インプリメンテーションからサインオフまで、タイミングおよびDRCを考慮したIRデザインクロージャーを提供
ケイデンス・コメント
Ben Gu(Corporate Vice President of R&D、Multiphysics Systems Analysis Business Unit)
「さらに先端ノードへと移行する中、EM-IRが急速に差し迫った課題となってきており、ニーズに対応するための斬新で革新的なアプローチが求められています。ケイデンスはVoltus InsightAIにより、先駆けて生成AIテクノロジーをEM-IRに適用し、サインオフに注力するだけではなく、EM-IR違反の早期特定および回避にも重点を置いています。この機能により、設計者はパワーグリッドを過剰に設計する必要がなくなり、その結果、格段に優れたPPAが可能になります。この画期的なテクノロジーを活用することで、サインオフ前に最大95%の違反を修正し、EM-IRクロージャーの生産性を2倍以上向上させることができるため、お客様は大きな成果をあげています。」
生成AIドリブンのVoltus InsightAIは、ケイデンスのIntelligent System Design™戦略を支え、卓越した完成度の高いSoC設計を可能にします。詳細については www.cadence.com/go/VoltusInsightAI をご参照ください。
お客様のコメント
Arm社
Berkan Baran氏 (vice president of implementation, Solutions Engineering Group)
「企業としては基盤技術も提供しており、先端ノードにおけるパワーインテグリティの複雑さを軽減することは、次の時代のコンピューティングの性能要件を満たし続けるために非常に重要です。我々は、3nmのArm Cortex-X4コアブロックにおけるケイデンスのVoltus InsightAIテクノロジーの初期の評価結果について大きな期待を寄せており、先端ノードにおけるパワーインテグリティのギャップを埋めるために、ケイデンスとこのテクノロジーでの協業を継続していくことを楽しみにしています。」
Cisco (Acacia)社
Jon Stahl氏 (Senior Director of ASIC Development)
「我々は、新しいケイデンスのVoltus InsightAIを評価し、IRドロップ違反を修正する技術に将来性を確信する結果を得ました。このツールは、非常に効率的な方法で、かなり多くの数の違反を自動的に修正することができました。今後のプロジェクトに導入するため、ケイデンスと協力を進めています。」
MediaTek社
CC Mao氏 (Deputy General Manager, Computing and Artificial Intelligence Technology Group)
「世界の代表的な半導体企業の一社として、MediaTekはチップ設計の限界を超えていく必要があり、またチップの市場投入までの厳しい時間目標を守るためには、高度なソフトウェアソリューションが必要です。ケイデンスの新しいVoltus InsightAIを使用することで、ブロックレベルでのIRドロップ違反が65~70%削減され、ベクターベースとベクターレスの両方の設計フローが最適化されました。」
ケイデンスについて
ケイデンスは30年以上にわたり蓄積してきた演算処理ソフトウェア(computational software)の専門知識を基盤とする電子システム設計業界のリーダーです。Intelligent System Design戦略のもと、設計コンセプトを実現するためのソフトウェア、ハードウェア、IPを提供しています。ケイデンスのお客様は、世界で最も革新的な企業であり、ハイパースケールコンピューティング、5G通信、自動車、モバイル、航空宇宙、コンシューマー、産業向け、ヘルスケアなど成長市場において開発される様々なアプリケーションに向けて、チップからボード、システムに至るまで、卓越した電子製品を提供しています。フォーチュン誌は9年連続で、ケイデンス社を「働きがいのある会社ベスト100」に選出しています。ケイデンスに関する詳細についてはcadence.comをご参照ください。
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