Datasheet
Spectre RF Option
Accurate and fast simulation for RFIC circuits
Cadence Spectre RF Option は包括的なRF解析機能群を提供する、Spectre XおよびSpectre Accelerated Parallel Simulator(APS)でも使うことが可能のオプション機能です。Spectre RF Optionでは、周波数ドメイン・ソルバのハーモニック・バランス法と時間ドメイン・ソルバのシューティング Newton法の両方のエンジンが提供されています。Spectre RF Optionは、Spectre Simulation Platformとして同じモデルをサポートしています。Spectre RF Option は、RF およびマイクロウェーブ回路やモジュールの設計の包括的ソリューションを提供するCadence Virtuoso® RF Solutionと一緒に利用することが可能です。
Overview
Spectre Simulation Platform
高精度なアナログ・シミュレーションの業界をリードするソリューションとして、Spectre Simulation Platform には複数のソルバーがあり、設計者は、回路、ブロック、システムレベルのシミュレーション・タスク間を、簡単かつシームレスに移行することが可能です。プラットフォームの基盤は、すべてのエンジンで共有されている統一されたテクノロジー(パーサー、デバイス・モデル、Verilog-A 機能記述モデル、入力データ・フォーマット、出力・データ・フォーマット)を持っているので、選択されたシミュレータに限らず、一貫した正確な実行方法を確実にします。
Spectre Accelerated Parallel Simulator (APS)アナログ・シミュレータは、オリジナルのSpectreエンジンと比較して、シミュレーション時間を 5 倍から10 倍短縮しながらSpectre精度を保ちます。Spectre X Simulator は、大規模検証シミュレーションの課題を解決し、最大 10 倍の速度向上と 5倍の規模の改善、および、クラウド・コンピューティングにおけるスケーラビリティと大規模並列処理シミュレーションを実現します。Spectre Extensive Partitioning Simulator (XPS)は、メモリー・デザインやミックスドシグナル・デザインで必要とされる FastSPICE のパフォーマンスおよび規模に対応したシミュレータです。完全なポートフォリオは、Spectre AMS Designer、Cadence のミックスドシグナル、ミックスド言語、ミックスド・レベル、ファンクショナル、ビヘイビア記述、ゲート・レベル、トランジスタ・レベルのシミュレータにより完成されます。
Spectre RF Optionは、RFIC回路に対して正確で高速なシミュレーションを提供します。このオプションには、周期定常状態、小信号、およびノイズ解析と、精度を損なうことなく性能を最大化するハーモニック・バランス解析機能が含まれています。Spectre CPU Accelerator Optionは、トランジェントおよび周期定常状態解析のマルチスレッド・シミュレーションを可能にし、複数のCPUを利用することにより、寄生がバックアノテートされたデザインの検証に非常に役立ちます。Spectre Power Option は、Spectre Simulation Platform に組み込まれているトランジスタ・レベルのエレクトロマイグレーションとIRドロップ(EMIR)解析の機能です。この機能は、Cadence Voltus™-Fi Custom Power Integrity Solutionの解析エンジンとして使用されます。
マルチモード・シミュレーション(MMSIM)ライセンスを用いることで、Spectre Simulation Platform の任意のプロダクトを必要に応じて使用することが可能となります。これにより、デザインをシミュレーションする場合に、種々のシミュレーション・タイプで要求されるライセンスを気にする必要がなくなります。
Spectre RF Option
Spectre RF Option は、Spectre X Simulator や Spectre APSと一緒に用いることができ、RF シミュレーション解析の完全なセットを提供します。Spectre RF Option には、設計で実績のある 2 つの RF ソルバ(周波数ドメイン・ソルバのハーモニック・バランス法と時間ドメイン・ソルバのシューティング Newton法)が提供されています。Spectre RF Option は、Spectre Simulation Platform として同じモデルをサポートしています。Spectre RF Option は、RF およびマイクロウェーブ回路やモジュールのデザインの包括的な設計・検証フローを提供するCadence Virtuoso RF Solution と一緒に利用することが可能です。
利点
特長
Comprehensive RF analyses
RF 回路解析は、回路のシングル・トーンやマルチ・トーンの周期的動作点応答を含む大信号周期動作点の計算に基づいて実行されます。インターセプト・ポイント(IIP3)や利得圧縮点(P1dB)など、歪みに関係した重要なパラメータが計算されます。周期動作点は、駆動回路(例、LNA)や自励回路(例、発振器)のいずれにおいても使用されます。Spectre RF Option には、周期 AC 解析、周期ノイズ解析、周期伝達関数解析、周期Sパラメータ解析、周期定常状態解析などの充実した小信号解析機能があります。周期小信号解析は、通常のDC動作点による小信号解析(利得やノイズ、電源電圧変動除去比などを計算)と同じ方法で使用されますが、周期小信号解析には、周波数変換の影響が含まれています。
Harmonic balance analysis
ハーモニック・バランス解析は周波数ドメインの解析手法です。この手法は、LANやミキサー、VCO、PA、トランスミッション・ライン素子を含む分布定数素子を持った回路や、S パラメータでモデリングされた素子を含む回路など、高周波システムに対してより効果的です。
Shooting Newton 解析は非線形時間波形の回路により効果的です。これらの回路としては、時間デジタル変換回路、離散時間サンプリング・ミキサー、ダイナミック・コンパレータ、リング・オシレータなどがあります。
Envelope following analysis for simulation of modulated signals
Spectre RF Option には、エンベロープ・フォローイング解析機能があります。エンベロープ・フォローイング解析は、周期定常状態解析を拡張した解析です。この解析では、変調信号のゆっくりと変化する変調信号の包絡波形の時間変化をシミュレーションすることができます。この解析は、振幅変調信号、位相変調信号、周波数変調信号に対応しています。ファスト・エンベロープ・フォローイング解析と呼ばれる速度の改良されたバージョンは、Spectre RF Wireless Testbench と統合されて、Bluetooth Low Energy などのワイヤレス規格に回路が準拠していることを検証することができます。
Wireless analysis
ワイヤレス・システムは変調技術を使用して情報を伝達して、利用可能なスペクトラムを効果的に利用します。Spectre RF Option のワイヤレス解析は、Virtuoso ADE Product Suite に統合された測定ベースのシミュレーション・フローです。RFIC設計者を考慮して開発され、目的の規格に基づいた測定を定義し、シミュレーションは測定を実行するように自動的に設定されます。この手法は、エラー・ベクター振幅(EVM)や他の主要な測定についての規格の要件に対する検証と回路が準拠している確認を簡単にします。ここの手法は、ワイヤレス解析に対して、トランジスタ・レベルのシミュレーション用のエンベロープ・フォローイング解析とシステム・レベルのシミュレーション用のファスト・エンベロープ・フォローイング解析の 2 つのオプションを持っています。それぞれのオプションは、シミュレーション・パラメータや規格の仕様に合わせたポスト・プロセッシングを自動的に設定する機能が備わっており、ワイヤレス規格に合わせた信号源を変更する作業の煩わしい手間を解消することができます。Spectre RF Option のワイヤレス解析には、EVM や BER、スペクトラムなどを含む豊富な結果表示機能が備わっています。ワイヤレス規格に準拠した信号源ライブラリの幅広いセットが用意されています。サポートされてる標準規格には以下のものがあります。IEEE 802.11b、IEEE 802.11ac、IEEE 802.11af、IEEE 802.11ad、IEEE 802.11ah、IEEE 802.11ax、IEEE 802.11n、IEEE 802.11p、Bluetooth LE、Bluetooth HS、 smart meter、LTE
Co-simulation with Simulink
Spectre X Simulator および Spectre APS への MathWorks Simulink インターフェイスは、システム設計者および回路設計者に、設計および検証の独自統合環境を提供します。システム・レベルのブロック・ダイアグラムにアナログやRF回路図やポスト・レイアウトのネットリストを直接与えることを可能にして、Simlink と Spectre シミュレータ群との協調シミュレーションを可能にします。システム・レベル設計と同じSimlink テストベンチをポスト・レイアウトの検証に利用することで、不要なフォーマットの変換を最低限にすることができると同時に設計フローを通した精度を維持することが可能になります。
RF simulation toolbox for MATLAB
Spectre RF toolbox for MathWorks MATLAB は、MATLAB で直接PSF およびSST2 ファイルを読み込みます。この機能を使用することで、MATLABの多くの数学関数を使ってSpectre X Simulator、Spectre APS、Spectre XPS、Spectre AMS Designer のシミュレーション結果のポスト・プロセッシングを実行できる利点があります。このツールボックスは、Monte Carloおよびパラメトリックを含むすべてのスィープ形式を扱うことができます。PSS や QPSS 解析から得られたRF信号とハーモニクスの結果を保存するために、特別なデータ構造が使用されています。加えて、Spectre RF toolbox は Fast Fourier Transform や 3 次インターセプト・ポイント、1dB利得圧縮点など通信系製品に特有のポスト・プロセッシング機能を備えMATLAB の豊富なライブラリを補間します。
Integrated with Virtuoso RF Solution
Virtuoso RF Solution を使用することで、単一の階層的な回路図を用いた回路シミュレーションの実行、IC/パッケージ/ボードのレイアウトの作成、高周波の電磁界効果(EM)の解析が可能です。Virtuoso RF Solutionには2つのEMソルバーが統合されています。1つはAXIEM 3Dプレーナー・ソルバーで、もう1つがCadence Clarity 3D Solver です。Virtuoso 環境への EM シミュレーションの統合により、シンプルな使用法を提供します。解析結果の S パラメータや集中定数回路は、extracted セルビューに出力されます。extracted ビューに EMの結果を含めることで、S パラメータ・ブロックを取り込んだ別の EM 回路図の作成の必要なく、レイアウトの寄生の効果を含んだシミュレーションの影響や LVS の参照用にゴールデンの回路図を維持することを可能にします。Hierarchy Editor を使用することで、schematicビューとextracted ビューを混在させたり入れ替えたりすることが可能で、回路デザインへの寄生の影響を簡単にかつ迅速に解析することが可能です。
仕様
サポートされている言語およびネットリスト
Spectre Simulation Platform では、以下のフォーマットは共通に使うことができます:ネットリスト、機能記述モデル、寄生付きネットリスト、スティミュラス・ファイル。以下のフォーマットががサポートされています。