Spectre FX Simulator

最大3倍の生産性向上と高精度を実現するメモリおよびSoC設計用の次世代FastSPICEシミュレータ

Cadence® Spectre® FX Simulator は、大規模な DRAM、フラッシュ、SRAM、トランジスタレベルのSoC デザインのプリ/ポストレイアウト検証用に設計された、次世代トランジスタレベル FastSPICE回路シミュレータです。Spectre FX Simulatorは、最新のFastSPICE シミュレータと同等以上の精度で、最大3倍の過渡シミュレーション性能を実現し、最大32個の並列CPUコアを活用することができます。今回のSpectre FX Simulator の追加により、業界をリードする Spectre プラットフォームは、セルのキャラクタライゼーションからチップレベルの検証まで、様々な検証作業の間にシームレスな精度と性能の連続性を提供する、完全なアナログ・シミュレーション・ソリューションを独自に提供します。

Spectre Simulation Platform

Spectre Simulation Platform は、高性能かつ大容量のニーズとアナログ精度を両立させる業界屈指のソリューションとして、複数のソルバーを備えており、回路レベル、ブロックレベル、システムレベルのシミュレーションと検証作業を設計者は簡単かつシームレスに行うことができます。プラットフォームの基盤となるのは、パーサー、デバイスモデル、Verilog-Aビヘイビアモデリング、入力データフォーマット、出力データフォーマットなど、すべてのシミュレータが共有する統一された技術であり、これにより、選択したシミュレータにかかわらず、一貫した正確な評価方法が保証されます。。個々のソルバーに加えて、Spectre のシミュレーション技術は、Xcelium Logic Simulation、Liberate Trio Characterization Suite、Legato Reliability Solution、Virtuoso ADE Product Suite、Voltus-Fi Custom Power Integrity Solution 、Virtuoso RF Solution など、ケイデンスの他のテクノロジー・プラットフォームにもうまく統合されており、業界で最も包括的なクロスドメイン・シミュレーション・ソリューションを提供しています。

Figure 1: Spectre Simulation Platform

Spectre FX Simulator

Spectre FX Simulatorは、高度なパーティショニングとRC リダクション・アルゴリズムを含む革新的なFastSPICE技術を採用した新しい画期的なアーキテクチャにより、最新のFastSPICE製品と同等以上の精度で最大3倍の性能を実現します。Spectre FX Simulatorを使用することで、設計チームはメモリやSoC設計の機能、タイミング、消費電力などの特性を正確かつ効率的に検証し、サインオフすることができます。高度なパーティショニング、マルチレートなどの次世代FastSPICE アルゴリズムを用いて、シミュレーションの精度と速度の最適なバランスを追求しています。また、Spectre FX Simulatorは、大規模なメモリやSoCを扱うための大容量を実現しています。最先端のRCリダクション技術により、精度を犠牲にすることなくマトリクスサイズを縮小し、大規模なポストレイアウト設計に対応します。Spectre FX Simulatorの高度にスケーラブルなマルチコア・アーキテクチャーは、最大32コアまでの過渡シミュレーションの並列化を可能にし、設計チームと検証チームは、精度を犠牲にすることなく、利用可能なハードウェア・リソースを活用してシミュレーションのターンアラウンドタイムを改善することができます。Spectre FX Simulator は、Spectre Simulation Platform の重要な一部であり、Spectre ファミリーのすべてのシミュレータと同じインフラストラクチャ技術で構築されています。

利点

  • 他のFastSPICEと同等またはそれ以上の精度で最大3倍の性能を実現
    • 高度なパーティショニングとRCリダクション
    • 内蔵SPICE ソルバーによる強固な精度基盤
    • ポストレイアウトの寄生成分を持つメモリや SoC に対応する高い処理能力
  • 最大32コアのマルチスレッディングによるスケーラビリティ
  • 最小限のオプション・チューニングでクラス最高のユースモデルとデバッグを実現
    • すぐに使える優れた性能と精度
    • 簡単に設定できるプリセットにより、予測可能な精度と性能のバランスを実現
    • デバッグ用のローカル精度コントロールと SPICEモード
    • ランタイム・デバッグのためのTcl インタラクティブ・モード
    • 生産性向上のためのセーブ・リストア機能
  • 採用のしやすさ
  • Spectre およびSPICE フローとの互換性
    • Virtuoso ADE Product Suite との緊密な統合
    • 共通のユースモデルに加え、波形解析、クロスプロービング、バックアノテーションなどの機能を搭載
  • 包括的な解析と検証機能
    • DC/過渡解析
    • Alter、スイープ、モンテカルロ解析
    • ダイナミック/スタティック回路チェック

特長

最小限のチューニングでクラス最高のユースモデル

Spectre FX Simulator は、FastSPICE による検証において、アプリケーションに応じた最小限のチューニングで、優れた精度と性能のバランスを備えたクラス最高のユースモデルを提供します。ほとんどのFastSPICEアプリケーションに対して、高精度で優れたシミュレーション速度を提供します。また、シミュレーションの精度と性能のトレードオフを予測可能な方法でコントロールするためのプリセットが用意されています。設計者は、リーク電流の測定やタイミングチェックなど、検証作業に応じて適切なプリセットを選択することができます。プリセットはデザインのブロックレベルでも設定でき、特定のデバッグ目的のために、シミュレータの精度と性能のトレードオフをより細かくコントロールすることができます。さらに、シミュレータにはSPICEおよびFastSPICE モードが用意されており、設計上の問題点のデバッグや機能検証時のゴールデン・リファレンスの確立に役立ちます。

既存の検証フローと完全互換

このシミュレータは、約30年にわたって設計者が信頼してきた Spectre プラットフォームの強固な精度基盤を活用しています。Spectre FX Simulator は、Spectre プラットフォームのフロントエンドとバックエンドのインフラストラクチャを再利用し、既存のSpectre および SPICEフローとの完全な互換性を実現しています。また、Virtuoso ADE Product Suite と緊密に統合されており、アナログ設計者や検証エンジニアにシームレスな体験を提供します。

ポストレイアウト・シミュレーション

先端プロセスノードで製造された最新の設計では、タイミングや消費電力などの特性に大きな影響を与えるレイアウトやインターコネクトの効果を考慮して、ポストレイアウトの寄生成分を検証する必要があります。Spectre FX Simulator は、数千万個のRC寄生素子を扱うために必要な大容量を実現し、DSPF、SPEF、および抽出されたSPICEフォーマットによるポストレイアウトシミュレーションをサポートします。寄生ファイルは、フラットまたは階層化されたネットリストとしてメインのネットリストに直接含めることも、デバッグ性を高めるためにプリレイアウトネットリストにバックアノテートすることもできます。このシミュレーションでは、独自のRCリダクション技術と、RCシミュレーション用に最適化された先進のマトリクス・ソルバーを組み合わせて採用し、ポストレイアウトシミュレーションを高速化しています。

トランジスタレベルのダイナミック/スタティック回路チェック

Spectre FX Simulator は、メモリや SoC 設計の検証範囲を、タイミングや機能チェックだけでなく拡張するための豊富な検証機能を備えています。スタティックおよびダイナミック回路チェックコマンドにより、ハイインピーダンスノード、電源間のリークパス、デバイスレベルのタイミングエラーなどを検出することができます。これらの回路チェックは、デザイン全体にグローバルに適用することも、デザインの特定のブロックにローカルに適用することもできます。

デバッグ機能

Spectre FX Simulator には、設計上の問題を迅速かつ効果的に発見し、修正するための多くのデバッグ機能が用意されています。Tcl インタラクティブ・モードでは、新しいプローブの追加、シミュレーションの開始と停止、電圧源などの新しい設計要素の追加など、ランタイム・デバッグが可能です。シミュレータは、保存された状態から再起動して計算時間を短縮することができるセーブ・リストア機能をサポートしています。また、セーブ・リストア機能では、セーブ・シミュレーションとリストア・シミュレーションの間で、設計の小さな変更や異なる精度設定を可能にすることで、設計上の問題をより迅速にデバッグすることができます。

仕様

  • 入力フォーマット
    • Spectre、SPICEネットリスト・フォーマット
    • Verilog-A 2.0
    • DSPF/SPF/DPF 寄生フォーマット
    • Tclスクリプト
    • デジタル・ベクタおよびVCDファイル
  • 出力フォーマット
    • PSFおよびFSDB波形フォーマット
  • 解析
    • 過渡
    • DCおよびOP
    • ALTER
    • スイープ
    • モンテカルロ
  • デバイス・モデル
    • Spectreプラットフォームでサポートされているものと同じ
  • プラットフォーム
    • ビルドOS: RHEL 7.4
    • サポートOS: RHEL 8、RHEL 7 (>=RHEL 7.4)、SLES 12

ケイデンスのサービスとサポート

  • ケイデンスのアプリケーション・エンジニアは、電話、電子メール、またはインターネットでお客様の技術的な質問にお答えします。また、技術支援やカスタム・トレーニングを提供することもできます。
  • ケイデンス認定講師が70以上のコースを担当し、実体験を生かした授業を展開しています。
  • 30以上のInternet Learning Series (iLS)オンラインコースは、インターネットを通じてご自身のパソコンで柔軟にトレーニングができます。
  • Cadence Online Supportは、最新のソリューション、技術文書、ソフトウェアのダウンロードなどのナレッジベースに24時間365日オンラインでアクセスすることができます。
  • 詳しくは、サポートおよび トレーニングのページをご覧ください。