ケイデンスがBETA CAE社を買収、構造解析分野に進出
05 Mar 2024
世界的に有名なBETA CAE社のソリューションがケイデンスの自動車、航空宇宙、産業、ヘルスケア分野向けシステム解析ポートフォリオを補完・拡大に貢献
ケイデンス・デザイン・システムズ社(本社 米国カリフォルニア州サンノゼ市、以下ケイデンス)は、3月5日(米国時間)、マルチドメイン、エンジニアリングシミュレーションソリューションのシステム解析プラットフォームの主要プロバイダーであるBETA CAE Systems International AG社を買収する正式契約を締結したことを発表しました。同社の実績ある技術と人材が加わり、マルチフィジックス・システム解析のポートフォリオを拡大することで、構造解析分野への参入し、数十億ドル規模のTAM増加機会を引き出すだけでなく、ケイデンスのIntelligent System Design™戦略を加速させます。最終合意に基づき、ケイデンスは約12億4,000万ドルを支払い、対価の60%は現金で、40%はケイデンスの普通株式をBETA CAE社の現株主に発行して支払います。この取引に伴い、ケイデンスは買収価格の現金部分(一部)に対して、新たな借入金による資金調達となることを見込んでいます。ケイデンスは、既存事業から生み出されるフリーキャッシュフローを活用し、買収資金を調達するために発生した借入金を迅速に返済する一方、自社株買いも継続する予定です。
機械設計と電気設計の同時進行はより急務で、システムはより複雑化し、市場投入までの時間的なプレッシャーは日々増大しています。そのため、設計サイクルの早い段階でのマルチフィジックス・シミュレーションが必要不可欠です。過去数年間、ケイデンスは、EM(electromagnetic)、ET(電熱)、CFD(数値流体力学)ソリューションを含む包括的なマルチフィジックス・プラットフォームを構築するために、システム解析ポートフォリオを拡大してきました。
BETA CAE社は、画期的かつ革新的な高性能シミュレーションソフトウェアとクラス最高のサービスで知られ、業界をリードする企業として高い評価を受けています。同社のポートフォリオには、業界のゴールドスタンダードである主力プリポスト処理製品、機械・構造シミュレーションおよびマルチフィジックス解析、シミュレーションにおけるプロセスとデータ、リソースを管理するSPDRMソリューションなどがあります。同社は、自動車業界において非常に強力な足跡を残しており、世界の自動車メーカー上位10社およびほとんどのF1レーシングチームをはじめ、航空宇宙、産業、ヘルスケア業界の大手顧客にソリューションを提供しています。同社の顧客には、本田技研工業株式会社、General Motors Company社、Stellantis社、Renault Group、Volvo Cars社、Lockheed Martin Corporation社など、有名企業が名を連ねています。
BETA CAE社は、機械/構造、CFD、EMにおけるマルチフィジックスシステム・シミュレーションのための全体的なシミュレーションおよび解析フローに対応する完全なプラットフォームを提供しています。同社の主要製品の1つ「ANSA」は、解析モデルの作成、条件設定を可能にするプリプロセッサです。「META」は、最先端のAR(拡張現実)機能を搭載し、データおよびシミュレーション結果を最適に可視化し、レポートを作成する先進的な複合領域CAEポストプロセッサです。さらに、同社のEPILYSISおよびFATIQソルバーを用いることで、構造解析および最適化問題を効率的に解析することができます。SPDRMツールは、データ、プロセス、リソースの統合されたオーケストレーションに対応し、CAEプロセスの取り込み、配置、管理、改善をシンプルかつ直感的に行うことができます。同社の製品は、Clarity™、Celsius™、Sigrity™、Voltus™、Fidelity™、そして最近発表されたMillennium™ M1マルチフィジックス・プラットフォームなど、EM、サーマル、シグナルインテグリティ、パワーインテグリティ、CFDの各領域に対応するケイデンスのマルチフィジックス・システム解析ポートフォリオを補完するものです。
同社は、スイスのルツェルン市に本社を構えています。ギリシャのテッサロニキ市に主要研究開発センターを持ち、世界各地に13のオフィスを構えています。
この買収は、規制当局の承認およびその他の慣例的な買収完了条件を満たすことを条件として、2024年第2四半期に完了する予定です。BETA CAE社の年間売上高は約9,000万ドルで、ケイデンスは同社が2024年の売上高に約4,000万ドル寄与すると見込んでいます。ケイデンスは、債務返済および自社株買い戻し計画に基づき、本取引が2024年の1株当たり利益に対して約12セントの希薄化をもたらしますが、2025年には増加すると見込んでいます(いずれも非GAAPベース)
BETA CAE社コメント
Panagiotis Kouvrakis氏(Chairman)
「20年以上にわたり、私たちはエンジニアリング・シミュレーションの進化をリードしてきました。まず、ランドモビリティ分野で高く評価され、その後、航空宇宙、防衛、バイオメカニクス、エレクトロニクス、エネルギーなど、さまざまな業界への展開を成功させてきました。私たちは、ケイデンスの一員となることを大変嬉しく思っており、イノベーションとエンジニアリングに対する共通の価値観と情熱、そして顧客とパートナーに対する揺るぎないコミットメントを通じて、さらなる成功を期待しています。」
ケイデンス・コメント
Dr. Anirudh Devgan(President and CEO)
「ケイデンスは数年前、有機的な革新と買収を通じてマルチフィジックス分野に参入しました。今回の戦略的買収は、この重要な領域で継続的な成長を目指す当社の決意を再確認するものです。当社の演算処理ソフトウェアの専門知識とBETA CAE社の豊富な技術と能力を組み合わせることで、顧客により包括的なポートフォリオを提供できるようになると同時に、構造解析分野に参入することで、ケイデンスにとって大きな新しいビジネスチャンスが生まれます。これらのソリューションは、電気自動車へのシフトが進むことで電気設計と機械設計の融合がさらに推進され、統合ワークフローにおける設計チームのより深い連携が必要とされる自動車において特に重要です。」
ケイデンスについて
ケイデンスは30年以上にわたり蓄積してきた演算処理ソフトウェア(computational software)の専門知識を基盤とする電子システム設計業界のリーダーです。Intelligent System Design戦略のもと、設計コンセプトを実現するためのソフトウェア、ハードウェア、IPを提供しています。ケイデンスのお客様は、世界で最も革新的な企業であり、ハイパースケールコンピューティング、5G通信、自動車、モバイル、航空宇宙、コンシューマー、産業向け、ヘルスケアなど成長市場において開発される様々なアプリケーションに向けて、チップからボード、システムに至るまで、卓越した電子製品を提供しています。フォーチュン誌は9年連続で、ケイデンス社を「働きがいのある会社ベスト100」に選出しています。ケイデンスに関する詳細についてはcadence.comをご参照ください。
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