ケイデンス、自動車機能安全規格ISO 26262認証機関TÜV SÜDより 業界初めて包括的な「TCL1適格」認定を取得
Yokohama, 12 Oct 2017
要点:
- 自動車機能安全マーケットにおいてEDAの重要性が高まっている状況を反映し、TÜV SÜDによって確立された新しいレベルの認証
- 車載向けLSIの設計者は、TÜV SÜD認定データベースを通じてフローレベルの認定を容易に検証
- ISO 26262に準拠したPCB設計および検証フローのドキュメントを新たに認定、さらに既存のカスタム設計および検証フロー、Virtuoso Liberate Characterization Solutionを組み込み拡張されたデジタルインプリメンテーションおよびサインオフフローに対してもドキュメントを認定
ケイデンス・デザイン・システムズ社(本社:米国カリフォルニア州サンノゼ市、以下、ケイデンス)は、10月11日(米国現地時間) 、国際的第三者試験認証機関であるTÜV SÜDより業界で初めて包括的な「Fit for Purpose - Tool Confidence Level 1 (TCL1) 適格」の認定を取得したことを発表しました。これにより、車載半導体メーカー、OEMおよび部品ベンダーは厳しいISO 26262自動車機能安全規格の要件を満たすことができます。ケイデンスは、TÜV SÜDによる認定を得るためにツールとフローのドキュメントを提供し、TÜV SÜDはケイデンスフローがASIL AからASIL Dまで車載向けLSIの設計プロジェクトにおける使用に適していることを確認しました。この機能安全ドキュメントはCadence Automotive Functional Safety Kitsとしてまとめられており、アナログ・ミックスシグナル、デジタルフロントエンド設計検証、デジタルインプリメンテーションとサインオフ検証、およびPCBの4種のフローと、それに含まれる約40種のツールをカバーし、自動車産業をサポートする最も幅広いEDA認定ツールとフローのドキュメントとなっています。
ケイデンスのお客様は、ホームページ www.cadence.com/go/iso26262cert上でCadence Automotive Functional Safety Kitsを通じてツールやフローのドキュメント、TÜV SÜDの技術レポートを簡単に参照することができます。
TÜV SÜDとCadenceの両社は、自動車機能安全市場向けEDAソリューションの重要性が高まっていることを受け、ISO 26262に準拠するための車載LSI設計者のプロセスをさらに容易にするために、新しい認証レベルを追加する必要があると判断しました。 Cadenceのフローレベル認証は、TÜV SÜD認定データベースを通じて検証できます。
この新しい認証モデルでは、各ツールフローの機能安全ドキュメントキットに対して5年間有効な証明書が発行されています。 TÜV SÜDは、ツールフローに対する更新内容とISO 26262準拠性に対する影響を少なくとも年に一度確認する予定です。
TÜV SÜDによる「TCL1適格」認定を取得し、Cadence Automotive Functional Safety Kitに含まれているツールフローのドキュメントは、次のとおりです。
- PCB設計および検証フロー:PCB設計に向けて新たに認定されたフローにおいては、デザイン生成からシミュレーション、物理設計、検証まで網羅するケイデンスのOrCAD®、PSpice®、Allegro®製品群が含まれています。これらの製品群に含まれる高性能な設計エントリー、シミュレーション、およびレイアウト編集ツールは、設計エンジニアが個々の回路スペックに必要な機能安全要件を検証し、設計の信頼性を得るための統合環境を提供します。
- アナログ/ミックスシグナル設計、実装、検証フロー: 本フローにおいてはCadence Virtuoso® ADE Product SuiteおよびSpectre® Circuit Simulation Platformを使用して、トランジスタレベルの設計をデザイン生成およびシミュレーションからフィジカルインプリメンテーションおよび検証まで設計に必要なステップをカバーします。 Cadence Virtuoso ADE Verifierは、設計エンジニアに対して個々の回路スペックに対する機能安全要件を検証し、設計の信頼性を確認するための統合された手段を提供します。
- デジタルインプリメンテーションとサインオフ検証フロー:このフローはRTLからGDSIIへのインプリメンテーションおよびサインオフ検証をカバーします。 Cadence Virtuoso Liberate™ Characterization Solutionは、このフローには新たに本フローに追加され、車載向け設計の実装と最終検証をサポートする以下のツールを含む既存の13のツールに組み込まれました。Cadence Innovus™ Implementation System、Genus™ Synthesis Solution 、Modus™ Test Solution、Tempus™ Timing Signoff Solution、Quantus™ QRC Extraction Solution、Voltus™ IC Power Integrity Solution。
デジタルフロントエンド設計および検証フローに関するドキュメンテーションキットについては、ISO 26262に準拠していることが既に評価、確認されており、2017年第4四半期中に認定を取得する予定です。このフロードキュメンテーションキットには、RTL設計から検証までの仕様が含まれています。フロントエンドのデジタル設計ツールには、Cadence Genus™ Synthesis SolutionとConformal® Equivalence Checkerが含まれています。機能安全に関する検証機能はCadence Verification Suiteに含まれる以下の製品によって提供されます: Cadence JasperGold® Formal Verification Platform、Xcelium™ Parallel Logic Simulator(2017年第4四半期にフロードキュメントに追加予定)、Palladium® Z1 Enterprise Emulation Platform、Protium™ FPGA-Based Prototyping Platform、vManager™ Metric-Driven Signoff PlatformおよびIndago™ Debug Platform(2017年第4四半期にフロードキュメントに追加予定)など。
TÜV SÜDコメント
Günter Greil氏(head of the generic functional safety components department)
「ケイデンスと協力し、ドキュメンテーションの認証プログラムを確立することは、ASIL AからASIL Dプロジェクトにおいてケイデンスのツールチェーンを使用するユーザーにとって大変有益であると判断しました。 車載半導体メーカー、OEMおよび部品ベンダーは、大変厳しい納期を守ることが求められており、その中でISO 26262規格にも準拠しなければなりません。この新しいドキュメンテーションプログラムにより、顧客はツールの認証取得にかかる時間を短縮し、製品の革新に注力できるようになります。
ケイデンス・コメント
Raja Tabet (corporate vice president, Emerging Technologies)
「ケイデンスのフローレベルでのドキュメント化に対するアプローチは、車載向け部品ベンダーがさらに容易にISO 26262規格に準拠できることを目指しています。事前に認証されたドキュメントを提供することにより、お客様が認証に向けた目標を達成するために必要な労力を大幅に削減します。このアプローチによって得られる柔軟性と便宜性がお客様にとって有益であることを期待しています。今回のTÜV SÜDとの提携による、フローレベルでのドキュメント認定と新しい「Fit for Purpose - TCL1適格」認定マークの作成は、私たちの自動車市場へのコミットメントであり、車載半導体メーカー、OEMおよび部品ベンダーによる新たなソリューションの創出をサポートします。」
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